最高裁判所第一小法廷 昭和46年(オ)719号 判決 1971年12月23日
主文
理由
上告代理人河谷泰昌、同須田久節の上告理由第一点について。
訴外丸本本間水産株式会社が上告人との本件保証委託契約に基づき上告人に対し負担すべき債務について、被上告人らが上告人に対し連帯保証をする旨約したとの事実は認められないとする原審の認定判断は、原判決の取調べた証拠関係に照らして、肯認しえないものではない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断ないし事実の認定を非難するに帰し、採用することができない。
同第二点について。
原判決は、被上告人石田が、昭和四一年二月三日ころ、訴外会社の上告人に対する前記債務につき連帯保証をした事実が認められるとしているものではないのであつて、記録に顕われた原審における訴訟の経過に照らせば、原審が所論の点について特に釈明権を行使しなかつたことを違法とすることはできない。したがつて、論旨は採用することはできない。
同第三点について。
甲第一号証が差し入れられた経緯につき原審が確定した事実関係のもとにおいては、これをもつて本件連帯保証契約に関する無権代理行為の追認があつたものとはいえず、また、新らたな保証契約が成立したものとも認められないとする原審の認定判断は、相当として是認することができる。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
(裁判長裁判官 大隅健一郎 裁判官 岩田 誠 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸 盛一)